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仁丹
「消化と毒消し」のキャッチフレーズで、薬ではあるが病気でなくても服用できる仁丹は、明治38(1905)年に森下南洋堂から発売されました。
不思議と印象に残るナポレオン帽とカイゼルヒゲをたくわえた大礼服姿の男性に仁丹の文字を入れたその商標は、明治33(1900)年に発売された梅毒薬「毒滅」の商標であるビスマルク像が様々に図案化・デフォルメされながら、日露戦争当時大衆の憧れだった大礼服になったというのが通説です。
しかし、前社長の森下泰は仁丹の商標の由来について、生前の祖父(森下博)から話を聞いたとして「少年時代に祖父に大礼服の軍人さんは誰なのかと尋ねると、祖父は、あれは軍人さんではないと笑っていった。あれは外交官だと言うのです。つまり仁丹は薬の外交官だということです」と語っています。
森下南洋堂の創業者である森下博は、自社製品の広告活動に様々な手法を用いた人物として知られています。新聞広告とともに屋外広告に力を入れ、駅前に大イルミネーションを立て名物としたり多種多様な看板も製作しました。ホーロー看板も数多く製作され、全国津々浦々に掲示されました。